漢方で体のメンテナンス(冷え性、生理痛)
冷え、生理痛、疲れ、頭痛、肩こり、耳なり、めまい
中国の書物『黄帝内経』には男性は8の倍数、女性は7の倍数で体に変化が起きると記載されています。
それをグラフにすると下図のようになります。
男性は32歳をピークに成長が止まり40歳から、女性は28歳をピークに35歳から下降線を辿りはじめます。中国医学では2000年以上も前から男性ホルモンや女性ホルモンの分泌量の変化による体の変化を唱えていました。科学の進歩によって生活が豊かになった現代でも、人間の体(五臓六腑)は何も変わりません。
このグラフのピークからの下降線は、毎日の養生によって、もっと緩やかに下降させることができます。ところが、日頃から不摂生を続けていると、この下降線はもっと早く下降してしまい、老化を早めてしまうばかりでなく、冷えや生理痛、肩こり、耳鳴り、めまい等の様々な不調を来たしやすい体質にもつながっていきます。
私たちは栄養面や衛生面での質の向上により、長寿を達成することはできました。ただし、介護を受けたり、寝たきりになったりせず、元気でいきいきと過ごせる健康寿命との間には、まだまだ差があります。だからこそ、漢方薬で体のメンテナンスをして、いつまでも若々しく元気に過ごせる体にすることが大切です。
西洋医学では各々の臓器は独立していますが、漢方の世界では繋がりがあります。
五臓の相生・相克
「心」から血液を送り出すことで、「脾」(胃腸)の消化吸収能力が高まります。吸収された栄養と「肺」が取り込んだ酸素は結び付いてエネルギー(気)になり、「腎」に送られます。「腎」には持って生まれたエネルギー(精)があり、この(精)と(気)が合体して生命維持に不可欠な大きなエネルギー(腎陰と腎陽)となり腎に貯蔵されます。このエネルギーを保持することで老化の進行を抑制できます。また、腎陰は、血液に変化して、「肝」の働きを助けます。「肝」は、血液を貯蔵し、必要に応じて「心」に血液を供給します。また、各臓器が円滑に機能するように調節したり、ストレスを発散させる働きを担っています。
西洋医学と東洋医学の臓器の働きの違い
西洋医学
  • 血液を全身に送り出すポンプ
  • 消化吸収
  • 呼吸
  • 尿を作り血圧を調節
  • 解毒、栄養分の貯蔵と変換



東洋医学(五臓の働き)
  • 血の循環、精神活動、舌に変化が現れる
  • 消化吸収・栄養と水分の輸送、血液が漏れないよう血管壁の維持、肌肉を養う、
    味覚や食欲に変化が現れる
  • 肺呼吸と皮膚呼吸の調節、体液を汗や尿にして出す、全身バリアの働き、
    鼻に変化が現れる
  • 成長、発育、生殖を促す、骨を養う、水分代謝(利尿と再吸収)、
    耳に変化が現れる
  • 精神情緒の安定、肝は血の貯蔵庫、筋肉の働き維持、目に変化が現れる
五臓に変化が現れると
  • 胸の動悸、息切れ、不安感、不眠、よく夢を見る、舌先が痛い、味覚障害
  • 食欲不振、食後の倦怠感や眠気、軟便、下痢、鼻血、不正出血、腹部の下垂感、脱肛
  • 声が小さい、息切れ、疲れやすい、汗が出ない、風邪を引きやすい、鼻詰まり、鼻水、皮膚の痒み
  • 老化現象、頻尿、尿失禁、背中や腰の歪み、集中力の低下
  • 怒りっぽくなる、筋肉の痙攣、視力の低下、目の奥に痛み
漢方薬でメンテナンス

冷え、生理痛、疲れ、頭痛、肩こり、耳鳴り、めまい・・・。

これら体の不調は、漢方では、五臓の働きが乱れた結果として、「血」や「気」、「津液」が不足してしまったり、あるいは、「血」や「気」、「津液」の流れが滞ることで有害物が発生してしまったりすることで引き起こされると考えます。漢方薬には体の余分な有害物を取り除くタイプ(瀉剤)と足りないものを補うタイプ(補剤)があります。これらを使い分けることで体のメンテナンスが可能です。
  • お風呂に例えると
  • 陰と陽のバランスが良い
  • 陰虚
  • 陽虚
いつもいい湯の状態を保とうとすることが漢方のメンテナンスです。同じ生理痛でも、ある人には「補剤」を使い、別の人には「瀉剤」を使う、といった具合に漢方では、その人その人に合わせた処方を使い分けて対応します。西洋医学のように、「この病名にはこの薬!」といった、画一的な治療をすることはありません。